あそ望山岳会
ホーム ご挨拶 会の紹介 年間計画 活動計画 活動報告 掲示板 入会案内 山岳連盟 リンク

山行報告
【報 告 者】松井、大倉 写真
【日    時】2007年10月06日〜07(日)
【参 加 者】松井、山野、山道、福島、宮本、増本、大倉、穴見
【コースタイム】 10月6日(土)
「3KNスラブ」;山野−山道、福島−勝野
「失われた草付」;増本−大倉、宮本・坂根−松井 
大津(7:30)〜高森経由〜〜比叡山下駐車場(9:30)−取り付き(10:30/11:30)−終了点(14:30/15:00)−III峰水場(15:30) 
10月7日(日)
「2スラブ」;山野−福島、穴見−増本 
「奥の細道」;大倉・宮本−松井 
比叡山下駐車場(8:00)−取り付き(8:30)−終了点(11:00)−駐車場(11:30)〜高千穂温泉〜〜熊本、福岡
【備   考】
【天   気】晴れのち曇り(一日目)、曇りのち雨(二日目)


【比叡山(I峰)マルチピッチクライミング】(2007/10/06_07)

≪ 報 告 1 (報告者:松井)≫ 
さて、春の雌鉾岳に続き、当会発足後2度目のマルチピッチクライミングを実現することが出来た。天候は晴れ、しかし明日からは崩れるようだ。朝7:30分に大津の文化センター駐車場には熊本組の山野、福島、宮本、大倉の4名が集結していた。宮本さんと大倉さんの車で一路比叡山へ向う。高千穂、日之影と過ぎて比叡山下駐車場に9:30頃に到着。山道さんはすでに到着していてトイレ脇の駐車場のようだ。やがて、福岡組の増本、勝野、坂根が到着。ここにはすでに2〜3張りのテントが張ってあるので我々も大型テントを2基設営。
早速、I峰の南側に開けた壁の取り付き点に向かって山道を登る。この登りは、何時来てもきつい登りだ。でも、雌鉾や中央の岩場に比べると格段に近い。15分ほどで取り付き点に到着。ここで、山道−山野、福島−勝野の2ペアは「3KNスラブ」に挑戦。皆、一応フォロー及び若干のリードの経験はあるものの初心者に近い。4名でルートファイティングやマルチの手順を協力し合って登れればと比較的易しいルートを選んだ。最高グレードはIV+なので4名の誰にとってもやさしいレベルだ。ただし、本ちゃんとなると少し勝手は違ってくる。

【出発前の記念撮影】

【1ピッチ目スタート地点】


増本−大倉、松井−宮本/坂根の5名で、「3KNスラブ」に比較的近く並行してルートが引かれている「失われた草付」を登る。「3KNスラブ」のメンバーに声の届くところなので比較的安心できる。「失われた草付」は最初の1ピッチ目が最高グレードのVI級だ。増本−大倉組の増本がリードで取り付くも結構苦戦。しかし、A0は入ったものの核心部をしっかりクリアできた。これは大きな自信に繋がるだろう。2ピッチ目は易しいフェース、ただし、ピンはほとんど無い。ここは大倉リード、絶妙の位置にカムを決めたようだ。これを登ればTAカンテと交差する。次の3ピッチ目も易しいスラブだ。この辺りから、展望も開け、隣のルートも良く見え快適になる。フォローの宮本・坂根も結構確実に登ってくるようで安心できる。そして、この辺りは3KNスラブと並行して登ることになる。4ピッチ目は右を取るか左を取るかで若干グレードは異なるものの快適そのものである。5ピッチ目は結構シビアなスラブ。そしてファイナルの6ピッチ目は易しくなる。増本−大倉組はつるべで最後まで登りきった。終了点に到着し、皆でがっちり握手。総合グレードは4級上とそこそこ難しいレベル。変化もあり快適な良いルートでした。僕もこのルートをトポ通りきっちり登ったのは初めてでした。 登攀時間は2時間半とまずまずのタイムでした。ただし、つるべの二人はもっと早くても良かったかも。やはり、切り替えの手順に少々手間取ったようです。これは、今後いろんなルートを登りこむことによってうまくなるでしょう。

【3KN2ピッチ目終了点】

【失われた草付き5ピッチ目】


反省点は、ルベルソやアブミを落としたメンバーがいたこと。アブミは万が一に使うものだし、プルージックで代替できるのでまあ良いとしても、ルベルソは、ビレイや懸垂下降に必須のギアです。これを失くすとカラビナを使って半マストのビレイしかなくなります。これは最後の手段です。リードのビレイ時のボディビレイとセカンドのビレイの時の支点ビレイの切り替えの練習はきっちりやりましょう。 隣の3KNスラブ組と合流し、遅い昼食を取る。皆さんには登山道を下山してもらい、僕は鹿児島労山のメンバーが登ってくる「TAカンテ」の終了点に行った。丁度、前半の3名が登ってこられ、回収してもらったアブミとルベルソを頂いた。鹿児島労山のメンバーは2〜3年前鹿屋で開かれた日本登山医学シンポジウムで会った人達だった。鹿児島黒稜会の藤山さんが一緒だったら皆で「庵・鹿川」に泊まる予定のメンバーでした。 その後、急いで下山しII峰水場横の「トリハダスラブ」に向かう。他のメンバーも集合したばかりだった。ヌンチャクとトップロープ掛けにマスターで登る。ここは何度登っても感心するような絶妙なコース取りだ。三ッ星という評価も肯ける良いルートだ。 その後は、皆さんに思い思いのスタイルで登ってもらい先発の4名で温泉と買出しに出かけた。日之影温泉に浸かり、A−コープで買出しをし、酒屋にも寄って準備万端で宴会に臨む。後発組も合流し、楽しく賑やかに宴会は続いたのでした(と思う)。

【鳥肌スラブ】


夜には雨も降ったようです。翌日は曇り空で、今にも雨が降り出しそう。6時過ぎにはもう穴見さんが福岡から車をとばしてやってきた。この時点で、クライミングは行ける所まで登ってみようと決断した。 2スラ組みは当初のメンバー通りとし、大倉、宮本、松井で下山のアクセスの良い、「奥の細道」を選んだ。ここは、大倉さんにオールリードでトライしてもらうことにした。1ピッチ目は直登がVI級、右に逃げるとV級だ。壁も濡れているので迷わずV級の方を選ぶ、大倉さんがうまいロープの使い方をしてくれたので僕は直登のVI級を選んだ。結構細かいホールドだが条件が良ければこちらのほうが快適だろう。2ピッチ目も直上のスラブ。V級だが、雨もぱらつくしで、大倉さんかなり苦戦。この悪条件の中、良く登った。さすがアルパインクライマーだ。フォローの宮本さんと僕は気楽に登って行った。ここで、核心部は終了。後はIV級以下のスラブを繋ぐだけだが、先ほどの雨で岩はべちゃべちゃに濡れている。しかし、良くしたもので、クライミングシューズのソールはがっちり岩を掴んでくれる。だが、岩の中でも白っぽい部分は大丈夫だが黒くなっていたり、苔で緑色になっている部分は危ない。一部、逆層気味のスラブでは左のブッシュに回りこむことがあったが、そこにもスタンスの跡があり、多くのクライマーが迂回しているように思えた。そんなこんなで、なんとか完登。 2スラ組は2ピッチで敗退したとのこと。まあ、この悪条件で初めてのルートなら仕方ないでしょう。的確な判断でした。 終了点でギアの回収中に一般ルートを下山中の松本さんに出会う。大倉さんは仕事の都合で大急ぎ下山。  駐車場で全員集合し、高千穂温泉経由で帰宅に付いた。参加されたみなさんお疲れ様でした。リベンジを兼ねてまた来ましょう。



≪ 報 告 2 (報告者:大倉) ≫
(1)10月6日 失われた草つき 増本、大倉
(コースタイム)トイレ10:40−取り付き11:00−2ピッチ目終了12:40−4ピッチ目終了13:35−終了点13:50−千畳敷15:10
(ギア)50メートルシングル ヌンチャク、キャメロット0.5、0.75、1 小型ナッツ
トイレ下駐車場にテントを設営後全員で一峰基部へ。蒸し暑い。15分そこらで取り付きへ。1ピッチ目(6級)は増本リード。。傾斜の強い壁からハング気味の出っ張りを右に回るライン。ハングのあとがホールドの乏しい核心。数回のハングドッグの後A0で突破。フォローでもちょうどいい具合に打ち込まれたボルトをスタンスに使用。以後、リードは奇数ピッチ増本、偶数ピッチ大倉。2ピッチ目は快適なスラブ。TAカンテへのトラバースラインまでで終了。3KNスラブ隊のビレイポイントとは隣同士。3ピッチ目は広いスラブ。中間支点は少ない。4ピッチ目も似たようなスラブだが、ボルトが打ってある部分は手がかりの少ないラインで、登りやすいところを選んでいると20メートルほどランナウトした。確実なホールドがあるからいいが、ナチュプロを突っ込むところもなく、ボルトが近くに見つかってから逆に緊張させられた。5ピッチ目は容易。終了点からナックル横の下降点を経由、千畳敷へ下山。

【失われた草付き4ピッチ目】


(2)10月7日 奥の細道 松井、宮本、大倉
トイレ8:00 取り付き8:12 終了11:00 トイレ11:30
ギア 50メートルダブル ヌンチャク キャメロット0.75、1
湿っぽい空の下、3KNより50メートルほど奥の取り付きへ。全ピッチ大倉リード。取り付きから3メートルほどでホールド、スタンスともに乏しいバンド。3ミリしかない手がかりで体勢を保ちつつ右へ逃げると、縦フレークが現れる。傾斜のゆるいテラスに向かって左上し1ピッチ目終了。45メートルの2ピッチ目はさらにすっきりしている。この壁に比べれば今までは単なる坂のように思えてくる。出だしは4級ほどだが数メートル先から本格的に厳しい。白いガスが時折岩壁をなめるように流れる中、スラブ、凹角をこなす。もうおなかいっぱいだ。しかし下から「まだ20メートルしかロープが出とらんよ」の声。まあいい。降り始めの霧雨に濡れながら微妙なバンドの右トラバースに移る。なぜかボルトは右足の下。腰をかがめ、ぎりぎりまで手を伸ばしてクリップ。この時点でランナウトしているので一瞬の安堵感すら許されない。右上4メートルのボルトがラインを示す道標だ。簡単とはとても言えないが、落ちない確信は持てる程度の難易度。一手一手を意外なほど冷静にこなして最後のヌンチャクをかける。ようやく核心を抜けた。 下を見るとロープが交差している。さっきから気にはなっていたが、改めて見ると情けない気分だ。後続の引き上げでもきれいにロープを捌けず次のピッチに移るのに無駄な時間を要してしまった。 2ピッチ目が終わったところでラッペルしようかと相談した結果、やはり上へ抜けることになった。傾斜は落ちたが雨水でコケがぬめってコンディションはいまいち。左側のブッシュを使ったりしながら残り3ピッチを登りきり、ささっと千畳敷へ下降した。

【宴会風景】

■一覧に戻る





内容に不備・不都合・間違い等がある場合はご連絡ください
ホームページ・コンテンツ及び画像の無断転載はご遠慮ください
Copyright (C) 2007.04.01 ASO-bow Alpine Club All rights reserved.