あそ望山岳会
ホーム ご挨拶 会の紹介 年間計画 活動計画 活動報告 掲示板 入会案内 山岳連盟 リンク

山行報告
【報 告 者】キーボウ,クライマ-E,ナカノ,ますも,ミッキー,yamaaki 写真
【日    時】2007年07月27日〜29 (日)
【参 加 者】キーボウ(リーダ),クライマ-E(サブリーダ),ナカノ,ますも,ミッキー,yamaaki 
【コースタイム】 一日目:立山IC 7:00−立山駅8:00−美女平8:15−室堂9:00(2420m)−雷鳥平10:00(2260m)−別山乗越(剣御前小屋)11:45(2750m)−剣山荘15:00(2450m) …距離5.3k
二日目:剣山荘4:00−剣沢・源次郎尾根取付5:00(2100m)−I峰8:00−II峰9:00−剣岳11:00(2998m)−剣山荘14:30 …距離5.2k (1日目+2日目の累積標高差+1521、-1484)
三日目:剣山荘6:00−剣御前小屋7:00−室堂9:00〜10:00−美女平10:50−立山駅11:00 …距離5.3k 累積標高差 約500、-500
(オプション:剣午前小屋7:00−立山9:00-室堂9:40…距離6.2k 累積標高差+485、-810)
【備   考】北アルプス遠征レポート
【天   気】晴れ(一日目)、曇りのち雨(二日目)、曇り(三日目)
気温:10度前後


【剱岳・源次郎尾根バリエーション】(2007/07/27_29)

≪ 前書及び全般 ≫
 昨年、会発足前の夏に計画されていた源次郎尾根は天候悪化により中止となり、今年、会の夏山遠征として同じルートへリベンジすることとなった。数ヶ月前からメンバーを募り昨年メンバー4名に更に新しいメンバー2名が加わった。このコースは30m懸垂下降にザイルを使用する他は殆どノーザイルで標高差約1000m、沿面距離1.5kの源次郎尾根の急斜面をよじ登る体力勝負のバリエーションルートだ。出発前から十分な準備ができたとは言えなかったが、皆、ボッカや登攀訓練を行って備えた。
九州から北アルプスまでは1100kもあるので、前日の26日の夕方に会の本拠地がある植木を7時に出発した。8人乗りの高級車(レンタカー)アルファードに6人を乗せ高速道路をひた走り、翌朝、ロープウェーの立山駅に到着する。一人2時間弱の運転を夜通し交代しながら行ったが皆ほとんど疲れは無い様子であった。立山からはロープウェー・バスを乗り継いで室堂に至り、3日間の素晴らしい北アルプスの登山・登攀が始まった。


一日目の朝は、富山付近では雲が垂れ込め天候の悪化が心配されたものの、雲を突き抜けて2400mの室堂まで上がるとそこは晴天と化していた。抜けるような青空が広がっていた。室堂から雷鳥沢の野営地へ200m下り、別山乗越(剣御前小屋)まで500m登り返し、更に剣沢方面へ300m下り中腹にある剣山荘へ昼過ぎに到着した。そして、次の日のメインディッシュである源次郎尾根登攀に備え、英気を養うべく宴会が繰り広げられた。又、宴会に興じる約三名を尻目に、途中から酒に飽きた他の三名が小屋の裏から前剣の見える一服剣まで散歩を行うというハプニングもあった。夜は準備してきた食材も用いて外で鍋を作り夕日を見ながら美味しく頂く。特に、残った汁にうどんを入れ、更にドライカレーを入れて作ったウドン&カレーリゾットは最高の味を出した。


二日目の朝、夜明け前から小屋を出発し、剣沢を更に降りて源次郎尾根取付きに至り夜明けを待った。そして緊張高まる中、源次郎尾根の急登をT峰・U峰・剱岳と6時間かけて登る。悪戦苦闘の末、昼前、とうとう山頂に達し皆互いに握手をして喜びに浸った。下山は、山頂直前から強くなった風雨に悩まされるも、一般道でも緊張の鎖場、蟹のタテバイ・ヨコバイを経て3時頃、昨日と同じ剣山荘へ無事戻る。その日、雨は続いたものの、小屋の中で、登攀成功の杯をかわし床に入った。
三日目はゆっくりとした帰り支度の予定も、思いがけなく天候が幾分回復していた。4名は1日目に来た道をそのまま室堂へ下山し、後の2名が立山経由で下山することとなった。雲っていたが視界は良かった。2グループは室堂で10時前に無事再会し、再び、バス・ロープウェーで立山駅に降りた。車に乗り込むと、近くの温泉に入り、三日ぶりの下界の食事をいただく。ここは日本海側、海鮮丼が美味しかった。大阪あたりで渋滞が気になったもののほぼ順調に高速道路を南下し、ほぼ予定通りの12時過ぎに植木に戻った。 (報告者:yamaaki)

≪ 一日目:室堂〜剣山荘報告 ≫
約12時間で北陸自動車道・立山ICを降りてロープウェイ駅のある立山駅駐車場に到着。 曇り空で天候はあまり良くなく少し心配だ。 ロープウェイとバスを乗り継ぎ室堂の登山口へと向かう。ロープウェイで高度を稼ぎバスに乗り換え室堂に近づく頃には雲が切れ始め大日ヶ岳・立山の雄姿を望む事ができた。どうやら雲海の上に出たようだ。 室堂は平日だとゆうのに多くの登山者・観光客で賑わっていた。 飲み水の確保など各々登山準備を済ませ一日目の目的地、剣山荘へ向かう。先ずはみくりが池からの多くの雪渓が残る立山の山々を楽しむと、雷鳥沢への下り、いきなりの下りでもったいない気もするがスロースターターの自分は幾分助けられました


雷鳥沢の近くの地獄谷は水蒸気・ガスが噴出しイオウ独特の臭いがたちこめ、荒涼とした独特の景色が広がっている。 雷鳥平から別山乗越までは標高差約500mの登り、ザックも重いので立山の山々・雪渓・青空を楽しみながら休み休み歩くと2時間弱で別山乗越に到着。この山行の目的、岩峰・剣岳と源次郎尾根が近くに見えてくる。 しばし昼食をとり、緩やかな下り坂で幾つかの雪渓を越え約一時間で一日目の目的地剣山荘へ到着する。到着を祝い山荘の食堂でビールを頂くが晴天の下の絶景が広がっており我慢できず、yamaakiさん・クライマーEさん・ますもで散歩に出かけることに。最初少しだけ歩くつもりだったが、クライマーEさんの制止も聞かず一服剣まで登ってしまった。(途中からクライマーEさんもノリノリでした)帰りは下りが得意なクライマーEさんは猛烈なスピードで下って行かれた。 夕食は山荘前でキーボウ会長のうどん鍋?を美味しく頂く、私は人一倍食べた気がします。 剣山荘は改築されたばかりで新しく、テレビ・シャワーを備えチョッとした民宿の様だった。(報告者:ますも)
≪ 二日目:源次郎尾根登攀報告 ≫
昨日のような快晴では無いが午前中は天気が持ちそうだとのことで、予定通り源次郎尾根を目指すことにした。4:10剣山荘を出発、3人の方が先行していった。剣沢の雪渓に踏み込むところでアイゼンを装着。剣沢の中心に入ると傾斜も緩くあまりアイゼンの必要性は感じられないくらいにどんどん進めた。やがて、左に平蔵谷を見ると源次郎尾根取り付きに到着。ほぼ予定通りの5:10だ。ここでアイゼンをしまい、草付を少し登るとシナノキンバイのお花畑があり尾根通しに明瞭な道があった。尾根の右側を偵察するとルンゼに入っていくようだ。ここでこのルートが正しいことを確信した。


出だしの岩場は3mくらいで若干かぶり気味だが、ほぼ中ほどにハーケンが打ってある。テストをしたら使えそうなのでこれにシュリンゲをつけたカラビナをかける。これを足場に乗り越すのが一番良さそう。クライミングシューズなら易しいが、軽登山靴のうえ少し濡れているのでロープを出 すことにした。右のブッシュを掴んで乗り越えると手ごろな立木にシュリンゲと残置カラビナがあった。これを支点としてロープを固定。他のメンバーにはプルージックで登ってもらうことにした。最後のクライマーEさんはシュリンゲの回収があるので普通のセカンドビレイにしてもらう。ここが、ほぼ核心か?その後、木の根っこや岩に掴まりながら急登を直上する。右手にはルンゼ(もう一つのルートになる)を挟んで源次郎尾根右主稜の末端岩壁がきれいだ。一部に古い支点があったりもするが特に使う必要もない。特に迷うところも無くひたすら上へ、上へ。途中で左手の壁を覗き込む。ここが、あの因縁の「中谷ルート」の上あたりだろうか。3年前の苦い思い出が蘇る。


これ以降ロープを出すことも無く、I峰(1709m)まで登りきった。根子岳縦走よりは易しい。ただ、ここが北アルプスの深部であり事故があった時の対応は極めて難しい場所であることは認識しておこう。更に、高度が高くなるにつれ力が出ないというか続かない現象が生じる。


I峰のピークから眺めたII峰は左側に堂々とした岩壁を備えている。この岩壁にはアルパインのルートがあるのだが、高度差100mで、III級程度の易しいルートだとのこと。そんなには見えないほど堂々としている。左の岩壁と右のブッシュ帯の間を簡単なクライミングを交えて登っていくと意外とあっさりとII峰に到着。平行移動して末端に着くと懸垂下降用の多くのシュリンゲが付いている。大きな鎖にロープを通して懸垂下降に移る。この懸垂下降でのロープの絡みが僕にとってはいつも課題だ。なかなかうまくできない。今回も20mくらい降りたところでめちゃくちゃに絡んでいて解きほぐすのに10分くらい掛かってしまった。もう少し工夫せねば。
皆も次から次へ降りてくる。ここまでで一応、源次郎尾根のバリエーションは終わりとなる。といっても、一面ガスの中、きっちりした登山道があるわけではない。岩場の歩きやすいところを選んで上を目指す。もう、周囲は雨となってきた。雨具をつけて更に登る。一部、いやらしい雪渓の末端を乗り越えるところが出てきたが、ここはますもさんの力強いキックステップで一気に乗り越える。


雰囲気が頂上近いことを感じさせる20〜30年くらい前のごみが現れるとすぐに剣岳の頂上に到着。時間的に見ても良いペースだった。皆で握手して集合写真を撮ろうとするも他には登山者はいない。休憩も早々に下山にかかった。 雨が強くなって眼鏡が曇る。全く見えないので眼鏡ははずして下山することに。ルートが上りと下りで分かれているようだ、下りの「カニの横ばい」という鎖場に差し掛かるとここで、渋滞にかかるやはり恐くて降りられない人がいるようだ。鎖に体を預けたら不安定に振られるので返って恐いのと岩に顔が近づきすぎて足の置き場もわからなくなっているようだ。最悪、簡易ハーネスでも作って上からビレイさせてあげようと思ったがそれほどでも無かったようだ。なんとか、降りきって後に続く。さすがに1000m登ってきただけあって、前剣や一服剣の登り返しはつらい。先行者についていってしまって剣山荘に降りるルートを間違え黒百合のコルの方まで進んでしまったりと、ちょっとトラブルはあったものの無事剣山荘に到着。今日は、皆さん(僕もだけど)の体調を考えて剣御前小屋まで登り返すのは止めて昨日と同じく剣山荘に泊まることとした。(報告者:キーボウ)
≪ 三日目:剣御前小屋〜雷鳥平報告 ≫
三日目:7月29日(日) 剣山荘6:00―別山乗越7;00―室堂9:00―立山駅11:00 昨夜の大雨も上がり曇り空のなか、三日間お世話になった剣山荘に別れを告げ、昨日の疲れが抜けきれない体で別山乗越を目指した。

数箇所の雪渓を注意深くトラバースし、一時間程で剣御前小屋のある別山乗越に到着した。 昨日登頂した剱岳源次郎尾根が見える。達成感を感じつつ無事ここに居られる事をメンバー全員に感謝をする。

これから雷鳥平まで長い降りだ。左に立山の主峰大汝、雄山、右に奥大日を見ながら、登りでは見る余裕のなかった花々を鑑賞しながら下って行った。 雷鳥平までは四名一列に並んで歩いたが、ここから自分のペースでの歩行になり室堂まで体力に合わせそれぞれ歩きを楽しんだ。 日曜ということもあり室堂は観光客で一杯だった。それから一時間もしない内に立山縦走の二名が合流した。何という健脚だろう! 関心しつつ高原バスとケーブルカーを乗り継ぎ立山駅に到着した。


三日ぶりの下界は夏の暑さを実感させられた。途中亀谷温泉で汗を流し、熊本に向かった。 最後に私にとって夢にまで見た北アルプス遠征! 剱岳源次郎尾根登頂は私には不可能なことと思っていたが、仲間の助けをかり、共に進むことにより困難を乗り越え実現できた。仲間に心から感謝。(報告者 ミッキー)
≪ 三日目:立山縦走報告 ≫
三日目目の天候は曇り。昨日からの雨が降り続いているものと思っていたので出発時間も6時とそれ程早い設定とはなってなかった。メンバー全員、揃って小屋の朝食をゆっくりと済まし、6時に小屋を出発した。昨日の疲れはなく今日で最終日ということで、皆、足取りは軽かった。ところどころ雪渓の残る元来た道の緩斜面を1時間程、軽快に歩いていくと剣御前小屋について少し休憩する。ここで一日目のコースを逆にたどり室堂に降りる4人と、立山を回って室堂に下りる2人の二手に分かれることになった。

立山へ行くのは今回の山行で最も調子の良いますもさん。それとなんとかそれにあやかろうとするyamaakiだ。帰りの時間を考えるとあまり時間も無いので早々に、小屋を出発し、かなり早い足取りで別山へ向う東の尾根を駆け上がった。3000メールの高知でこれ程急ぐと凄い息使いとなったがますもさんのペースは変わらなかった。別山と真砂岳は時間を稼ぐために迂回路を通った。前方の南に見える立山の尾根は少しガスがかかり見通しが悪いが、尾根道を歩きながらながら右手に見える雷鳥平の窪地が草原の緑と雪渓の白の二色のパノラマで綺麗だ。

真砂岳の右をトラバースし、何度かアップダウンを繰り返しながら最後の登りを登りきると休憩所の小屋のある大汝山に着いた。山頂は3015mの表示がある。山頂に向うガレ場で3000を越えると急に足が重たくなり、3000mの空気の薄さを実感できた。ますもさんと一緒に一人づつ山頂でバンザイのポーズで写真を撮るが、他に誰もいない。別山側からこの時間に登る人はまれなんだろうし、室堂側からの登山者はまだ着いていないのだろう。最も高い大汝山を過ぎたとこでこれ以上登らなくて済むという気持ちで楽になり、大きな岩がごろごろする道を半ば走りながら進んだ。そして雄山に着くと、雄山神社にお参りをした。なんせ、山頂が神社となっており、入場料500円を払って神社の門をくぐり、山頂に立った。時計はちょうど9時を指しており小屋から2時間弱が経ちまあまあのペース。 さあ後は転げ落ちるように下るだけ。でもぞろぞろ一般観光客も混じって相当の数の登山者の列が続く。標高2700のノ越山荘までの300の急坂、岩だらけ、人だらけの中を縫うようにして20分で走り降りる。ここでもますも氏のスピードにはついていけなかった。ますもさんは一ノ越に先に着いて待っておられた。

一ノ越の後はかなり坂が緩やかになり、又、道もコンクリートに変わった。何度か雪渓と出くわしながら、約20分かけて早足で室堂まで達した。依然として登山客の流れは続いていた。やっとのことで室堂に到着し、4人との再会を喜び、10時のバスに間にあって立山駅へ向った。(報告者:yamaaki)
≪ 感想 ≫
1.クライマーEさんの感想
自分は皆さんと剣岳に行くことができてとても感動しています。自分の最も行きたい山でしたから。美しい景色とバリエーションのスリルの両方を味わうことができました。これも、キーボウさんを始めとして参加者の皆さんの支えがあってのことです。ありがとうございました。  バリエーションは正直、身体がフリーになる部分がほとんどで、少し怖かったです。マルチピッチクライミングはもっと危険そうに見えますが、実際は手順さえ間違えなければ安全だと思います(もちろん、支点の確認等は必要です)。今後のことで少し考えていることがトラブル回避の能力やフリーでの登攀能力をもっとつけようと思っています。  来年以後の遠征については自分はしばらくは参加できないかも知れません。しかし、登攀練習や救助訓練などは皆さんと共に一緒に今後とも取り組みたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
2.ナカノさんの感想
7月26日〜27日のレンタカーによる移動(熊本〜立山)  今回のトヨタのワンボックスカー3000cc8人乗りに6名が乗車し各自が約200Km弱を運転していくという手段を用いたが非常に経済的、スピーディー、快適でありました今後とも活用できる手段だと考えます。また年齢にあわせた運転時間帯の割り振りと走行距離の配分などキーボウ会長の熟慮が伺えるものであった。特に年寄りの私にはありがたかった。立山にて装備を点検して各自の荷物の分担を決め13〜15Kgくらいでおさまった。私のバッグは非常に小さくまとまっており、ますもさんにパッキングが上手ですねとほめられてしまった。後で考えると自分だけ焼酎の1升パックを入れていたのだ。反省、反省。 7月27日〈立山〜室堂〜剣山荘〉  立山からケーブルカー、バスを乗り継いで室堂で降り立山連峰と雪渓と青空の織り成す風景を見たとき、28年ぶり北アルプスに本当に来たのだなーという実感がこみ上げてきました。あそ望山岳会に入って本当に良かったと思った瞬間でした。あそ望山岳会に入る前はせいぜい2泊3日が最長の山行と自分で決めていたし、北アルプスなぞは夢のまた夢というのが現実だったのです。

さて室堂から剣山荘までの山行は九州の山とのスケールの違いを実感させられました。室堂から見ると剣御前小屋までは2時間くらいで着きそうな気がしました。しかしながらいったん下ってまた登り返す道のりは想像したよりも長く、さらに標高が2700m位になると空気の薄さが実感され、きついものでした。28年前にはまったく感じられなかった空気の希薄さ、これが年というものか、年齢による体力の低下はトレーニングによって補わないといけないと反省しました。 7月28日(剣山荘〜剣沢〜源次郎尾根〜剣岳〜前剣〜剣山荘)  剣沢の下り、今年は梅雨明けが遅かったため雪渓が多かった。6本爪のアイゼンは非常に有効であったと思う。源次郎尾根の取り付きまでは何の問題もなく到達した。  源次郎尾根の取り付きから第1峰までは、ボルダーと岩稜歩きの組み合わせである。ここで私の一番苦手とする登攀能力が試されるが一度スリップして危うく転落寸前のところであった。登攀能力の劣る自分がアプローチシューズしか用意しなかったことが今回の一番の反省点である。荷物の重量を重視したあまり車にクライミング対応のシューズを置いてきてしまったのだ、申し訳ありませんでした。 源次郎尾根の上りは高度差が700Mくらいあり標高も高くなるのでスタミナも重要な要素であった。キーボウ、ますもの先頭に遅れることも多く、今回小屋泊まりという安易な気持ちが歩荷訓練をさぼってしまい、つけが出てしまったようだ。この点についても皆様にご迷惑をかけた反省点でありました。 源次郎尾根のハイライトは2峰からの27Mくらいの懸垂下降であろう。先頭のキーボウさんはロープが絡まって苦労されたようだ。私は懸垂下降の準備その他にまったく手足も出せずに何のお手伝いもできなかった。アルパインクライミングについての全般のレベルアップを図らなければならないと実感した。 懸垂下降直後より雲行きが怪しくなり雨も混じってきたが全員早めに雨具とスパッツに着替え、まったく濡れることがなく快適に頂上まで達したことは良かったと思います。  剣岳山頂から剣山荘までは雨の中の岩稜歩きであった。かにのヨコバイ等の岩稜地帯の歩きも順調であったが、前剣、一服剣の下りなのに上り坂はだんだんと体力の消耗した身にはこたえた。私のここでのへばりの一番の要因はシャリばてであった。軽食料しか食べてなかったため後になって効いてきたようだ。もう少し喉のとおりの良いものを持参すべきであったと思う。このスタミナ低下が結局、一服剣での分岐で先行者が別ルート方面にいったのを追いかけられなかったことにつながるのだ、反省、反省。

7月29日(剣山荘〜剣御前〜室堂〜立山〜下関〜熊本) 剣山荘についてからも28日は夜中雨であった、寝る前も明日は雨の中の下山を覚悟して翌日の立山登頂をあきらめていた。しかしながら朝5時に起きてみるとまったくの快晴である、このとき決意すれば間に合ったかもしれないが朝食が遅かったため立山登頂は無理だろうと考えた。剣山荘を6時出発して剣御前小屋前に着いたとき、増本さんと山野さんが立山3峰登頂をするという、時間的に私の脚力では少しきつい、もう少し決断を早くしていたら行けたかもしれないと思うと残念であった。最後まで計画を完遂しようとする気持ちを切らさなければできたかもしれない。 いろいろと反省することも多い今回の山行であったが、それ以上にすばらしい体験と思い出の残る登山であった。仲間がいるからこそできる登山、これはすばらしい。
≪ 反省等 ≫
1.バリエーションルートは危険と隣り合ったコースであるためスピードが命です。スピードと言っても無理に急いで歩く必要はありません。休憩の取り方やロープの出し入れ等の歩行以外の無駄な時間を如何に少なくするかです。僕も、懸垂下降のときロープを絡めて時間を費やしてしまいました。食事は本当に行動食という意味で立ち止まった時にちょっと取れるくらいにすべきでしょう。ザックのパッキングの段取りの善し悪しも重要です。 それから、パーティは最後まで一緒に行動すべきです。今回も最後の方で剣山荘が近いから良いだろうということで二手に分けましたがこれはまずいことでした。90%は成功でしたが若干反省点がありましたので記録しておきます。(報告者:キーボウ)
2. (1)山岳・山域については、今回の剣岳源次郎尾根登攀についてはアプローチ、ルート、登攀レベルについては参加者に対して適当であったと思われる。
(2)時期については、梅雨明けの時期と重なり適当であったと思われる。昨年、計画した9月中旬の時期には降雪等も考えられ、防寒対策も必要である。
(3)交通機関の面についは、8人乗りレンタカー借用、運転割りを事前に作成していた面などは非常に良かった。運転の面、乗り心地の面で疲労することなく万全の体制で山行に臨めた。
(4)費用の面については、レンタカー借用、山小屋2泊という負担はあったものの1台で行ったため通常の交通機関を使用時の約半分で納まっている。個人の車を使用し、テント泊ならさらに安くあがるが快適性という面ではベストに近いものであったと感じる。
(5)実際の登攀時での反省点
@体力的な面…他の参加者の方々は問題なかったが、自分の体力不足は明らかであった。結果的には予定タイムと大きなズレはなかったが、個人レベル、合同レベルでのボッカ訓練は今後とも必要と思われる。
A装備的な面…全員、問題はなかったが、懸垂下降ではエイト環使用が望ましいと思われる。
B落石や枯れ枝についての注意…今回、不幸中の幸いであった事例はあった。枯れ枝を掴むときや、落石には充分注意したい。自分は後続パーティがいなかったので大きな落石をさせたが、あれが誰かいたらと思うとぞっとする。
C技術について…今回の登攀ではロープを使用したのが2回のみであったので、大きな問題はなかったが、懸垂下降はクライミングにおいて最も事故が多いことから考えれば今後も練習は必要と思われる。セルフビレイ解除時に最も事故が多い。途中固定、途中固定のバックアップは全員に習得して欲しい(懸垂下降におけるプルージックでのバックアップは逆に危険である)。
Dパーティが二つに分かれたこと…下山時、一服剣から数分のところで二つに分かれたことは良くなかった。二つのグループに分かれる必要性はどこにもなく、一つのグループで行動すべきであった。先行グループは剣山荘への分岐が分からなかった。晴れていれば何の問題もないところである。樹木のないところではガスが出れば恐ろしいことを再認識した。余談だが、実は後続のグループでも「道が間違っているのでは?」という声が上がっていたが、その不安を消したのが剣山荘の発電機の音であった。(報告者:クライマーE)
■一覧に戻る





内容に不備・不都合・間違い等がある場合はご連絡ください
ホームページ・コンテンツ及び画像の無断転載はご遠慮ください
Copyright (C) 2007.04.01 ASO-bow Alpine Club All rights reserved.